山下社長:事業は何でも良かったんです。株で生活していたこともあり、勝てる事業かどうかに拘って事業を探していました。そこで、当時通っていた美容室の店長さんに「美容室ってどうですか?」と聞いたら、「日本は美容室もたくさんあって、独立したオーナーも厳しそうですね~」って話でした。「じゃあ、日本の技術やブランドを海外に持っていくと面白いんじゃないですか?」と話したのが美容室経営の道へ進むきっかけでした。
そこから、翌週には韓国や上海に行って、現地の日本人サロンオーナーと会ったり、店舗の内覧をしに行きました。そうして海外出店について、いろいろ調べてみると日本でやる以上にリスクがあることがわかりました。その後、日本に戻って改めて美容室のことを調べました。すると美容室は、コンビニの4倍店舗数があって、そのほとんどが中価格帯(カット3,000~4,000円)のサロンであることを知りました。
なぜ、中価格帯が多いか調べて考えていくと、美容師さんが独立する時の貯金が約300万~400万円。そして公庫から800~1,000万円融資がおり、設立資金の合計が約1,200万円とします。そこから店舗の出店費用を逆算していくと、席数4席シャンプー台2席で15坪ほどの大きさであれば、内装費が一坪あたり30万円で450万円、仲介手数料が家賃の1ヵ月分の15万円、保証金が家賃の6ヵ月分の90万円で合計約550万円。そこに美容器具など諸々が250万円、そして初月のカラー材やパーマ材などを含めると約1,000万円近くかかってきます。結局、中価格帯サロンが多い背景としては、お金の問題で、席数4席の美容室の規模感でやっていくとなると中価格帯の料金設定になってきます。
次に、高価格帯(カット4,000円以上)が少ない理由としては、自身のカリスマ性やお客さんが高価格な料金体系についてきてくれるかの不安がある。そして、美容室自体もおしゃれでゆとりのある空間にしないと高価格帯を謳えないからだと思います。
一方、低価格帯であれば、低価格に設定した分の施術を多くこなさないといけないので、美容室を大きく設計しないといけない。となると高価格帯も低価格帯も出店費用の負担が大きくなってしまうため参入障壁が高くなります。ただ、業界としては、新規開業融資がおりやすく、店舗数もコンビニの4倍と多いです。ただ、コンビニの大手4社のようなチェーン店は多くなく、ほとんどが個人店です。そこで個人店に勝つことが出来れば、おいしい市場だなと思い美容室経営を選びました。