OXY株式会社 山下社長へインタビュー

今回の経営者インタビューでは、山下社長に創業当時から今後の目標についてお話をお聞きしました。

経営者プロフィール

1985年 石川県生まれ。大学卒業後、証券会社に入社。その後、個人投資家に転身。
2015
年に「CIEL」を大阪府にオープン。創業5年で全国に31店舗を展開。2021年「芋ぴっぴ。」を愛媛県にオープン。

創業背景

眞鍋:山下社長のご経歴を教えてください。

山下社長:2008年に証券会社に入社しまして、2012年の秋に退社。そこから、元手200万円で個人投資家へ転向し、生活費はラーメン屋でアルバイトをして賄っていました。2013年はアベノミクスがスタートしたこともあり、市場環境も良く資産を増やすことができました。そこから1年経過したときに、資産を増やすというより数字を増やす感覚になり、毎日同じ作業の繰り返しで退屈になりました。また、株で勝つということは、自分自身の力ともありますが、地合いの良し悪しに影響を受ける部分も多く、地合いの悪化や、税率の改正で現在の20%から増税があった場合、専業投資家では生き残るのが厳しくなるかもしれないと感じ、何か他で事業をしたほうが良いと思い美容室経営を始め、現在31店舗まで事業を拡大していきました。

眞鍋:個人投資家としてもご活躍されていた中で、美容室経営へ挑戦された理由はなんでしょうか?

山下社長:事業は何でも良かったんです。株で生活していたこともあり、勝てる事業かどうかに拘って事業を探していました。そこで、当時通っていた美容室の店長さんに「美容室ってどうですか?」と聞いたら、「日本は美容室もたくさんあって、独立したオーナーも厳しそうですね~」って話でした。「じゃあ、日本の技術やブランドを海外に持っていくと面白いんじゃないですか?」と話したのが美容室経営の道へ進むきっかけでした。

そこから、翌週には韓国や上海に行って、現地の日本人サロンオーナーと会ったり、店舗の内覧をしに行きました。そうして海外出店について、いろいろ調べてみると日本でやる以上にリスクがあることがわかりました。その後、日本に戻って改めて美容室のことを調べました。すると美容室は、コンビニの4倍店舗数があって、そのほとんどが中価格帯(カット3,000~4,000円)のサロンであることを知りました。

なぜ、中価格帯が多いか調べて考えていくと、美容師さんが独立する時の貯金が約300万~400万円。そして公庫から800~1,000万円融資がおり、設立資金の合計が約1,200万円とします。そこから店舗の出店費用を逆算していくと、席数4席シャンプー台2席で15坪ほどの大きさであれば、内装費が一坪あたり30万円で450万円、仲介手数料が家賃の1ヵ月分の15万円、保証金が家賃の6ヵ月分の90万円で合計約550万円。そこに美容器具など諸々が250万円、そして初月のカラー材やパーマ材などを含めると約1,000万円近くかかってきます。結局、中価格帯サロンが多い背景としては、お金の問題で、席数4席の美容室の規模感でやっていくとなると中価格帯の料金設定になってきます。

次に、高価格帯(カット4,000円以上)が少ない理由としては、自身のカリスマ性やお客さんが高価格な料金体系についてきてくれるかの不安がある。そして、美容室自体もおしゃれでゆとりのある空間にしないと高価格帯を謳えないからだと思います。

一方、低価格帯であれば、低価格に設定した分の施術を多くこなさないといけないので、美容室を大きく設計しないといけない。となると高価格帯も低価格帯も出店費用の負担が大きくなってしまうため参入障壁が高くなります。ただ、業界としては、新規開業融資がおりやすく、店舗数もコンビニの4倍と多いです。ただ、コンビニの大手4社のようなチェーン店は多くなく、ほとんどが個人店です。そこで個人店に勝つことが出来れば、おいしい市場だなと思い美容室経営を選びました。

眞鍋:市場規模がありながらもコンビニ業界のように大手チェーン店が市場を独占している訳ではないところに勝算を感じ参入されたわけですね。
ちなみに、他業種への挑戦にあたり、苦労や不安はございましたか?

山下社長:美容室を始めるにあたっての不安は、そこまでなかったです。というのも、仮に失敗してもデイトレ(株式短期売買)で稼いでいく自信はあったので、1店舗目の出店コストは全て自己資金だったんですけども、もし事業が失敗しても資金投入は2,000万円までと決めて始めました。デイトレでもそのくらい失う時もあるので、始めるのは怖くなかったです。

もちろん金銭面以外では、運営していくうちに、美容師さんとの意見の相異も多々ありました。「美容師じゃないのに・・」といったところで衝突が生まれたこともありました。細かい話でいきますと、カット・カラーを今4,000円でやらせて頂いているんですけども、「施術時間を2時間から1時間半にして欲しい」という提案をしたんですけども「そんなの無理ですよ。カウンセリングしたことないでしょ」といった話が出たりとか、そこを上手いこと合わせるのに時間がかかったりしましたね。でも、営業が終わった後も一人で夜中まで店内掃除をしたり、毎日ポスティングをしていく中で、徐々にスタッフとも距離が縮まって会社を大きくしていくことができました。

眞鍋:そうだったのですね。現場との連携等で苦労があったわけですね。
一方で、証券会社・個人投資家時代の経験・考え方は経営に影響されてますでしょうか?

山下社長:僕の株の取引方法は、どれだけ株価が上がるかで銘柄を選ぶのではなく、株価が下がるリスクはどれだけあるのかで銘柄を選びます。つまり、最初に考えるのは、「どれだけリスクがあるのか」です。これは、事業に対しても同じで、最大どれだけのリスクがあるかを判断し、どのエリアにどう出店するかを考えていますね。最近は、店舗も増えてきたので、徐々にリスクを取っていっても良いのかなと考えています。

眞鍋:リスクがどれだけあるのかを分析し、その許容できる範囲内で投資リターンを取りに行くという考えの軸は、株式投資も事業も同じということですね。

事業について

 

眞鍋:続いて、御社のビジネスモデル・特徴について教えてください。

山下社長:弊社の特徴は、お手頃価格サロン(カット+カラーが4,000円)でありながら、しっかり教育された正社員が施術するサロンになります。お手頃価格サロンの大半が業務委託サロンのなかで、正社員サロンをどう作っていくかと考えたときに、まずは美容業界の課題であるのですが「求人・スタッフの定着率」ですね。そこでいくと、弊社が求人・定着率を強化するために、謳っていることが3つあります。それが「給料」「休日」「やりがい」です。この3つが良ければ求人・定着率はだいぶ上がると思います。給料も正社員サロンでは、業界1位に設定しております。休日は、月8日休みだけでなく、土日休み・有給・男性の育児休暇もとれるようにしています。ここまで充実した内容は、業界でも珍しいと思います。やりがいでいきますと、弊社が別法人で薬剤ディーラーを立ち上げております。そこから流行りの薬剤や最新の美容器具をすぐに取り入れ、美容師としてのやりがいに繫がる環境を提供しております。また、弊社が求人で工夫しているポイントとして、Twitterに力をいれています。このようにTwitterで求人を募集すると、多くの応募を頂きます。Twitterでは、求人のアピールだけでなく、スタッフ発信のTweetも大事にしておりまして、有休を満喫しているTweetや売上目標達成のTweetなど充実した環境を発信することで、さらに求人に繋がるようになったりします。また、「お客様から良い口コミをもらったスタッフには、5000円プレゼント」といったような企画であったり、しっかり日々のスタッフの功績を褒めたりするようにしてTwitterで社内の雰囲気の良さが伝わるようにしています。

眞鍋:給料・休日・やりがいが充実した労働環境や求人方法を工夫されていることで、短期間での多店舗出店、そして離職率3%といった業界でも突出した数字を実現されている訳ですね。

また、御社は特徴的な出店方法をされていますよね。

山下社長:出店方法でいきますと、他の美容室オーナーさんであれば、店舗で人を育て、その近くのエリアに新規出店し、人を共有できるようにする傾向がありますが、弊社は大阪だけでなく、各地域に積極的に出店していっています。大阪に出店したと思えば、熊本に出店をしたり、勝てると思ったエリアに出店します。では、その勝てるエリアをどうやって調べているかと言いますと。ホットペッパービューティでネット予約の売上ランキングが、全国エリア(全国)、大エリア(地方)、中エリア(県)といったエリアごとに閲覧できます。例えば大エリア(九州・沖縄)でいくと福岡の店舗がランキングを占めている中、熊本の店舗もランキングに載っていたりします。つまり、熊本にも福岡の人気店に匹敵する売上を出せるエリアがあるわけです。加えて、福岡と比べて家賃や広告費が抑えられる利点があります。つまりおいしいエリアなわけです。後は、そのランキング出てきた店舗に勝てる店舗をつくっていくために、その美容室の価格帯・お店の雰囲気などを実際に行って調べてみて、弊社との差を見つけ勝てると思えばそのエリアに出店をしていきます。

眞鍋:ありがとうございます。創業から短期間で成長されてきた背景には、スタッフへの配慮と評価、そして市場分析を行い、勝てるエリアを調べ出店していくところにあるわけですね。

今後について

眞鍋:今後の成長戦略・ビジョンはどのように描かれていますでしょうか。

山下社長:上場できるくらいの店舗数にまでは、増やしていきたいと考えています。店舗数でいくと80店舗くらいです。

店舗数をさらに増やしていくにあたり、M&A(買収)も戦略にございますか?

山下社長:そうですね。一から店舗を立ち上げる今のままの出店方法ではスピード感が劣るので、出店スピードを上げる点では、買収での拡大も戦略の一つと考えております。

最後に、独立を目指している起業家へメッセージを頂けますでしょうか。

山下社長:起業する時は、「知識がない。」「お金がない。」ってことが多くの方々にあると思います。ただそういった中でも誰しもができることはやっぱり行動です。行動力が大事だと思います。例えば、どんなにお金が無くても、自分自身が本気でやりたいと思って行動をして動けばお金を集めたりすることはできます。行動力さえあれば、不足要素のほとんどは補えるので、とにかく一気に動くことですかね。

眞鍋コメント
 今回、インタビューをさせて頂き、山下社長のロジカルな経営戦略と市場分析、行動力はもちろん、スタッフへの愛や経営を楽しまれている姿に感銘を受けました。今年からは新たに焼き芋の事業にも挑戦されるとのことで、山下社長の今後のご活躍も非常に楽しみです。
M&Aコンサルティングでは、事業承継やM&Aだけでなく、経営者の情熱やストーリーを多くの方々に繋げられるように、これからも経営者の思いを発信していきます。

Witter

17歳で野球ブログを運営し、1日10万PVを超える人気サイトへと成長させた。その後、広島の大学へ進学。大学在学中には中国深圳を拠点とするDahon Technologies社と米国サンフランシスコを拠点とするEC San Francisco社でインターンを経験。米国でインターン中に、株式会社二葉かばんの米国販路開拓の立案・実行。大学卒業後、株式会社二葉かばんに入社し、経営戦略から米国市場の販売管理まで業務全般に携わる。その後、2019年に株式会社M&Aコンサルティングへ転職。2020年に株式会社二葉かばん取締役へ就任。20歳の時に株式投資を初め、今に至る過去6年間で資産を22倍にまで増やした。

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