【事業承継】後継者不足や工場の老朽化、地域環境の変化への対応をM&Aで解決
2020.11.06製造業は日本経済の屋台骨として、職人の高度な技術や不断の努力に支えられ、成長を続けてきました。しかし、グローバル化による国際競争の激化、低コストで量産ができる新興国の台頭など、製造業を取り巻く環境は日増しに厳しいものになり、「ものづくり大国日本」といわれたのは過去の話となってきています。そのような状況の中で、事業承継にM&Aを活用する事例が増えてきています。
譲渡企業:田中 氏(仮名)
譲受企業:広瀬 氏(仮名)
聞き手:M&Aコンサルティング
ーー 事業を売却しようと思われたきっかけを教えていただけますか
田中 私自身の年齢と体力を考えたとき、いよいよ事業の継承が現実的な経営課題になってきたと思っていました。工場が老朽化していく中で働き方改革などに対応する昇給も実現しなければならない。新たな設備投資をしながら人材を確保していく難しい舵取りを後継者に背負わせるのは酷だと考えました。
広瀬 お気持ちすごくよくわかります。製造業の我々にとっては人材確保は喫緊の経営課題ですよね。
ーー 最終的に事業を譲渡する決断に至ったポイントはなんですか?
田中 先ほど話したような経営問題がベースにあり、さらに、工場の周辺の環境が変わり、周囲が住宅地になってきてた。環境問題を無視して、今まで通り工場を操業していくのは難しいと考え、近隣住民との軋轢を生む前にと、事業承継の準備をはじめました。
ーー 事業の売却について最初に相談した方はどなたですか?
田中 最初に相談したのは『東京都事業引き継ぎ支援センター』です。しかし、あまりうまく進まず、弊社役員の友人からスパイラルグループ・M&Aコンサルティングさんをご紹介いただきました。
ーー 事業承継についてはどのような印象をお持ちでしたか?
広瀬 事業承継という言葉はもちろん知っていましたが、弊社には関係ないことであって、うちは自社独自で教育や設備などに投資すべきだと考えていました。今回、事業譲渡を経験してみて、人材、顧客、設備など必要不可欠な物が短期間で取得できたことに大変満足しています。これからアフターフォローもしっかり行って受け継いだ事業をさらに成長させていきたいと思います。
ーー 手続きで苦労された点や大変だったことはありますか?
広瀬 自社の事業の方向性に関して変わることはないですが、事業譲渡ということで、双方の従業員への気遣いに細心の注意を払いました。短期的な対応ではなく、人材が定着するまで向こう5年ほどはしっかり向き合っていきます。
ーー M&Aのプロセスを進める上で、準備して良かったものはありますか?
田中 的確なアドバイスをいただける専門業者に指示をいただいたこと。短期間で成約まで進むことができました。
ーー 同じように事業承継を考えている経営者の方へのアドバイスがあれば
田中 まず、専門職に相談することが大切だと思います。我々の事業のことを理解する専門知識がなければ、信頼関係が築けません。信頼関係なしに大切な会社や事業を譲る話はできないですからね。その点、依田さんにはとても感謝しています! 様々なことに素早く対応してくれる専門家は心強いです。
ーー 譲受先を探す上で重要視していたポイントはありますか?
田中 従業員の将来を考え、同業他社であることは条件にさせていただきました。また、同規模の会社であることが望ましいと考えていました。
ーー 譲受の最終的な決め手・理由について教えてください
広瀬 まず、まったく知らない業種でなく、同業他社であった点ですね。そして、他社の私から見ても、田中さんが自社の人材をとても大事されてこらたことがわかりました。我々も人材を第一に考えていますので、その姿勢に共感しました。事業の内容、当社のメリットを的確にまとめた資料をいただけたのもありがたかったです。
ーー 今後の目標や展開について教えてください
広瀬 まずは、成長戦略として顧客の創生、現在のグレードアップ・ISO取得。また、社員の幸福度UPをはかりながら、地域貢献、社会貢献に積極的に寄与し、永続的に続けられる歴史ある会社にしていきたいです。
ーー 本日はありがとうございました
【コンサルタントコメント】
職人などの高度な技術や不断の努力により「ものづくり大国日本」とも言われたのは今は昔。グローバル化による国際競争の激化、低コストで量産ができる新興国の台頭など、日増しに経営環境は厳しさを増しています。そのような状況の中、成長戦略やカーブアウト戦略、事業承継にM&Aを活用する事例が増えてきています。