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本田直之が語るデュアルライフとは? 「これができたら最高だな、を追いかけてみただけです」

本田直之が語るデュアルライフとは? 「これができたら最高だな、を追いかけてみただけです」

2021.12.23
本田直之が語るデュアルライフとは?

「もっといろんな生き方を、見るようにしたほうがいい」

前回に引き続き、レバレッジコンサルティング社長の本田直之氏にお話をお伺いします。本田氏は、ハワイと東京に拠点を構え、世界を旅しながら仕事と遊びの垣根のないライフスタイルを送ってきたデュアルライフの先駆者です。ライフプランに続き、デュアルライフとライフスタイルについてお聞きします。

【 プロフィール 】
レバレッジコンサルティング株式会社代表取締役 シティバンクなどの外資系企業を経て、バックスグループの経営に参画し、常務取締役としてJASDAQ上場に導く。
現在は、日米のベンチャー企業への投資育成事業や、クローバルブランド企業のアドバイザーなども務める。ハワイ、東京に拠点を構え、年の5ヶ月をハワイ、3ヶ月を東京、2ヶ月を日本の地域、2ヶ月をヨーロッパを中心にオセアニア・アジア等の国々を旅しながら 、仕事と遊びの垣根のないライフスタイルを送る。これまで訪れた国は61ヶ国220都市を超える。著書に、レバレッジシリーズをはじめ、「パーソナル・トランスフォーメーションコロナでライフスタイルと働き方を変革する」「新しい働き方」、「オリジナリティ 全員に好かれることを目指す時代は終わった」等があり、著書累計300万部を突破し、韓国・台湾・香港・中国・タイで翻訳版も発売。

ハワイと日本を移動しながら、半々で行けたら最高だな、と

土橋 2007年から、日本とハワイの両方に拠点を構えるデュアルライフを実践されています。そもそもデュアルライフとは、どんなものなんでしょう。

本田 今はデュアルライフという言葉は当たり前になってきて、どこにも拠点がない、みたいな感じに変わって来ていると思うんですが、当時はそうじゃなかった。僕がやりたかったのは、冬にアリゾナに住んで、夏はコロラドに住む、みたいなことだったんです。
 僕はアリゾナで大学院に通っていたんですが、アリゾナは夏が暑すぎて運動なんてできないレベル。でも、逆に冬は適温なんです。そういう街だからこそ、冬はアリゾナに住んで、夏はコロラドに住む、という人がけっこういたんです。
 これができたら最高だな、と思って。理想じゃないですか。これが、僕の中のデュアルライフのイメージなんです。

土橋 日本では、ちょっとありえないですね。

本田 そもそも仕事どうするの、って話ですよね。僕は2004年からベンチャー投資をスタートさせていて、仕事はこれだけでもいいかな、と思ったんですが、楽しさに欠けたんです。何か面白いことをやるにはどうしよう、と思うようになって。  大学生のとき、ハワイに移住して住もうと思ったことがあったんですが、完全移住してしまうとハワイはビジネスが盛んではない。もっと面白いことはないかな、と。
 それで、ハワイと日本を移動しながら、半々で行けたら最高だな、と大学院のときに思いついたわけです。それで、2004年から準備を始めました。どう移住するのか、3年かけていろいろリサーチして、ダメだったら帰るつもりで2007年に始めたんです。
 そうしたら、iPhoneは出てくるし、どんどん世の中が便利になり始めた。最初はハワイに2カ月いる形だったんですが、もっとできるかも、と思い始めて。それからは、ハワイだけじゃなくて、ヨーロッパに3カ月いたり、日本には2カ月しかいない、なんてときもあった。それでも成り立つから、これが加速していって。

土橋 デュアルライフする人は増えてきていますよね。

本田 そうですね。デュアルである必要もあまりなくなってきている。今や世界中どこでも仕事はできるので、何カ所でも、いつでも滞在できますからね。

ビジネスにしようと思ってやると、うまくいかない

松栄 しかも、デュアルライフだけでなく、いろんなことを始められていますよね。食、ワイン、サウナ……。それが本になったり、ビジネスになったり。どうしてこんなにいろんなことができるんでしょう。

本田 ビジネスと思っていないから、ビジネスが絡んできているんだと思います。ビジネスにしようと思ってやると、うまくいかないんです。サウナをビジネスにしようとか思ってやるとうまくいかないし、サーフィンをビジネスにしようと思ってもおそらく難しい。楽しくやっていると、何かが生まれてくるんですよ。
 あとは、掛け合わせがポイントですよね。掛け合わせることで、新しいオリジナリティが出て、面白そうだからやってみよう、という話になることも多い。
 ワインについて、僕より詳しい人はたくさんいますよね。でも、講師を頼まれるのは、経営とワインという掛け合わせで僕は話をすることができるから。いろいろな組み合わせの中で、ビジネスを意識していないからこそ、面白い話がもらえるんだと思っています。

土橋 面白いことをやっている人が集まってくるのかもしれませんね。サウナにしても、まわりにいる人たちが極め始める。

本田 フィンランドに行ったり、ドイツに行ったり。

土橋 そこまでしますよね。中途半端じゃない。遊びも本気、みたいな。だから仕事も本気になる。

本田 サウナのビジネスをしている人も出てきていますけど、みんなビジネスをしようと思ってやっていたなら、あんなにはなっていないと思います。収益だけ考えると、そこからは程遠いから。面白いからやっているんですよ。

松栄 本を何冊も出されていますよね。そのアイデアはどうキャッチされるんでしょうか。普段から気をつけて意識していることなど、ありますか。

本田 切り口として面白そうだな、と思ったらメモするようにしていますが、やっぱり自分がやっていることが重要ですね。ビジネス書が中心ですが、自分の興味のあることとやっていることを本にしているからです。
 例えば、食もハワイもトレーニングもそうだし、サウナもそう。他のいろんなテーマもそうです。東京に住んでいてもしょうがないと思ったから「脱東京」とか、「Less is More」みたいな北欧のライフスタイルとか、新しい働き方とか。新しい働き方を提唱しているベンチャー企業を紹介したりとか。
 だから、すべての入り口は自分の興味です。自分が興味あることには、多くの人も興味があると思う。それを少し先から考えて、本を作る。だから売れるし、本の冊数も自然に増えていきました。
 もし、一つのビジネスだけしかやっていなかったら、こんなに本を書けないですね。ネタが切れます。

お金が絡んでくると発想に制限がかかってしまう

土橋 いつも楽しそうです。それがすべてのような気がします。本田さんのインスタをよく見ますけど、動きが速い。え、今日はここ? 昨日まで東京にいたでしょう、みたいな。

本田 マグロみたいなものですね。同じことをやるのが、超苦手ですから。

土橋 本田さんを見ていると、ビジネス的なネットワークではない、すごく柔軟なネットワークがありますよね。食からのつながりから、日本酒をサポートしたり。ビジネス的な側面が見えないところでつながっているから、みなさん仲が良いし、うまくみんなで取り組みができているというのが、見ていてもわかります。

本田 それはビジネスを考えて行動しなくてもいいからですね。多くの場合、これをサポートするとなったらいくらもらえるのか、というところから始まるわけでしょう。でも、お金が絡んでくると発想に制限がかかってしまうんですよ。面白いことができなくなる。
 こういう発想になると、実は僕がもらうどころか、出しているほうになったりするわけです。でも、それも面白い。だから、余計なことは考えず、いいと思ったものをやっていく。それがだんだん面白い仕事につながったり、思わぬ仕事が舞い込んできたりする。

松栄 なるほど、お金からの解放、というのは大きいですね。

土橋 イグジットした後に、そういうマインドを持てたら面白いかもしれないですね。ひとまずお金を稼がなくてもいいと考えると、結果プラスに動くことも多い。ギブ・アンド・ギブをしておくと、あとでたくさんいろんな方にお声がけいただいて、ビジネスになっていく。

本田 かなり広がると思いますよ。

土橋 広がることは大事ですよね。紹介も信頼感を持てる。関係値を深くできる。

本田 だから、もっと自由に考えればいいのに、というのが、僕の中での思いなんですよ。デュアルライフも最近は規定されすぎている。いくつか拠点を持って転々とすることだ、みたいな。でも、人それぞれのライフスタイルでいいんです。どんなふうに生きたいのか。何が大事なのか。
 人によっては、すごい家に住んで、すごい車を買いたい、という人もいる。そうなると、移動しながら生活するのはけっこう難しいと思う。でも、シンプルな生活をすれば、すぐにできる人もたくさんいるんです。
 よく、「本田さんはいいですね、そんなことができて」と言われることはありますけど、「いや、あなただってすぐにできるでしょう」という人は多いんです。

土橋 何かにとらわれているのかもしれないですね。何かから解放されていない。

本田 向いていない人もいると思いますけど、一回やってみればいいんです。僕は、向いているほうだった。僕がやるときには、参考になるものがほとんどなかったけど、面白いな、と思ったんです。「人生は壮大な実験だな」、って。

写真左より、弊社代表取締役社長・松栄遥、取締役会長・土橋裕太、本田直之氏

自分は何をしていれば幸せか、わかっていることが大事

松栄 そういう生き方をするとき、関係する人、例えば家族の理解はどのようにしたのですか。

本田 妻とは、かなり話をしていましたね。役員として入って上場したバックスグループは2004年に非常勤になって、けっこう自由になったんです。それで、レバレッジコンサルティングという会社を作ってベンチャー投資育成を始めたんですが、この頃からもうハワイに毎月のように行っていて。
 妻は当時マイクロソフトに勤めていて、営業部長になったばかりで、最初は「私は会社を辞めたくない」と言われました。でも、結婚するときに、いつかハワイで暮らしたいって話をしていたんです。
 彼女は働くのが大好きだから、会社を辞めるのは恐怖だったと思う。それで、だったら自分で会社を作ればいいのに、と伝えました。ちょうど当時、新しいWindowsが出るタイミングで、それがリリースしたら区切りをつけよう、ということになって、それが2007年の6月くらい。
 で、7月からハワイがスタートしました。それまでは、僕が準備をしていました。

土橋 今、奥さんは何をしてらっしゃるんですか。

本田 自分で会社をやってますね。上場企業の社外取締役をやったり、幹部の研修などをやったり、本を書いたり。基本は、日本で仕事をしています。

土橋 ベースは日本ですか。

本田 それでも、コロナの前までは、僕とほとんど同じスパンで移動していました。年に5カ月はハワイ。残りは日本で、僕が他の国に行っているときには別行動をします。

松栄 僕もデュアルライフに早く取り組みたいですね。バックパッカーをしていたこともあって、いろんな経験ができたので。

本田 バックパッカーとかしていると、ヨーロッパなどいろんな国の人たちと出会うでしょう。何年か働いて、また旅行して、なんて人がたくさんいる。僕も、大学のときにそれを知って、これはいいな、と思ったんですよ。なんだろう、この生き方は、と。

松栄 ヨーロッパに行くときには、ある程度、決まった国に行くんですか。

本田 いや、いろんなところに行きますね。ただ、スペインやイタリアの田舎に行くのが、けっこう多いかな。

土橋 基本は、食が目的ですか。

本田 最初は自分の中では食しか考えられなかったんですが、最近はサウナの街ですね。おいしいものはないけどサウナに入る。これでもよくなってきた。

松栄 日本は少子化が進んでいますから、外を見ていかないと確実に沈む船ですよね。

本田 そうですね。日本はどんどん中途半端になってきている。株式市場で見れば明らかですよね。

松栄 今後はどんなことを考えて動いていこう、とかありますか。

本田 特に今、やりたいことがあるのかといえば、ないんですよ。そのときそのときに、面白いことが起こってきますので。
 サウナにしても、やろうと思ってやったわけではなくて、ノリでやっていたら面白くなってきただけなんです。面白いことが今後、どんどん起きるのは間違いなので、そのときに出た波に乗ることでしょうか。
 ただ、その波に乗るための準備はしておかないといけないですね。サーフィンでいい波に乗るためには、準備をしておかなければいけないのと同じです。

土橋 良い波に乗れるようにする準備で、大事なことはどんなことでしょう。

本田 サーフィンと違って、いい波は人によって違います。いい波が来ていることに気づかない人もいます。大事なことは、どういうことをしたいのか、どういうふうに生きていきたいのか、どういうことがその人にとって楽しいことなのか、自分自身が分かっているということですよね。そうでなければ、波には乗れない。
 あと、将来のためには付き合う人も選ばないといけないですね。


次回は、世界でビジネスをしてきた本田さんが、イグジットについてどう考えているのか、お聞きします。

写真左より、弊社代表取締役社長・松栄遥、取締役会長・土橋裕太、本田直之氏
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