属人的になりがちな美容室の管理体制を整え、みんなが楽しいと思える組織に。 | 成約インタビュー | 株式会社M&Aコンサルティング
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属人的になりがちな美容室の管理体制を整え、みんなが楽しいと思える組織に。

属人的になりがちな美容室の管理体制を整え、みんなが楽しいと思える組織に。

2021.12.01


澤野 こちらの案件を最初にお話しさせていただいたのは、確か今年のゴールデンウィーク前でした。

伊東 業界問わず、差別化要素、技術や集客できる独自の仕組みがあるかとかそういう視点で投資先を探していた中でk’sさんをご紹介いただきました。


↑ 日本プライベートエクイティ株式会社 マネージャー 伊東正美氏

松栄 他のファンドさんも今、同じようなお考えで、美容業界では「他店との差別化」がキーワードになっています。今のお話は、まさに今の美容業界の実情だと思います。

 

伊東 今回のk’sさんでいうと高単価という点。この客単価を維持できているサロンはほとんど存在しないのではないでしょうか。創業当時からこの単価でやってきたというのは、高い技術と提案力がある証拠だなと感じました。だからこそ、リピート客が多く、顧客から評価され必要とされるサロンなんだなと。
また、布施さんが「新しいことに前向きなスタッフが多いですよ」と仰っていたのが印象的で、今後出店など新しい取組もやっていける風土がありそうだと感じました。布施さんが個人の経営に限界を感じているというお話を伺い、私たちの力で組織経営へ進化させ、共感する美容師の方々を集めることで、より成長できそうだと思いました。


↑ 株式会社M&Aコンサルティング 澤野太暉

澤野 最初にお二人にお会いいただいた際、美容施術人として紳士だなという第一印象を伺いました。他に記憶に残っている印象や話題はありますか?

 

伊東 お二人とも「美容師、美容室はこうあるべきだ」という信念を大変強く持っておられたことが印象的でした。努力して得た美容師という資格で、いかに顧客へサービスを提供し、喜んでもらい、会社は美容師に還元する。生涯美容師として生きてゆく上での考え方、それらを実現するための教育についてなどのお話を伺い、明確なビジョンを持っておられるなと感じることができました。そして、それがスタッフの共感を呼び、こうした素敵なサロンが出来上がったのだなと実感しました。初回の面談時に「サービス業は好きですか?」と聞かれたこともよく覚えています。

 

澤野 確かにおっしゃってました。

 

伊東 きっとサービス業としてお客様に向き合っているという想いを強くお持ちで、スタッフの皆さんのためにちゃんと想いを受け継いでくれる人でないと、というお考えがあるのだなと思いました。


↑ 株式会社M&Aコンサルティング 代表取締役社長 松栄 遥

澤野 その想いは強く持っていらっしゃいました。

 

松栄 これは質問になるのか分からないですが、今回、ファンドとしてもどちらかというと取り組みづらい案件だったのかなと思うんです。美容業界は属人性が高いというのがひとつ。もうひとつは布施さんのリーダーシップがあったので、布施さんが抜けたらどうなるの? という点があったと思うのですが、そこを乗り越えたのは、いつ頃だったのか、というのをぜひお伺いしたいです。そこはいかがでしたか?

 

伊東 確かに属人性が強い業界ではありますね。例えば、少数のカリスマ美容師が売上の大部分を支えるような体制ですと、その方がいなくなれば経営は途端に難しくなるかもしれません。その点、k’sさんの場合は高い技術や集客力のあるスタイリストさんが多くおられて、何本もの柱によって支えられている安心感がありました。布施さんがいなくなったらという点に関しては、すでに幹部メンバーに権限移譲を進めておられていたことや、本日同席頂いた髙梨さんや、以前面談に参加してくださった櫻田さんのような次世代を担う方の存在もあり、乗り越えられると思いました。

 

松栄 あれはプラスに映られたというか。

 

伊東 プラスでした。きっと今までもこれからも布施さん一人が引っ張ってきたというよりもチームという意識があったのだろうなと思いました。

 

松栄 先ほど、布施さんと一緒にスタッフの桜田さんがトップ面談にいらっしゃいました。桜田さんに開示するのは相当に勇気がいるというか、賭けとまではいわないですけど、下手に転ぶとスタッフさんにはやはりネガティブに映ってしまう可能性もある場です。だから、先ほど布施さんに不安とかはなかったのですか、と聞いたら、それはもう、全くなかったと。むしろ、M&Aという今回の件をポジティブに考えているから、そこをしっかり社員に伝えるのが僕らの役目です、とおっしゃっていました。
私も色々案件をやっていますけど、スタッフが同席というのは経験したことありませんでした。一般的に社長は、M&Aの過程をあまり社員に開示したくない、と考えます。会社に愛着があればあるほど、秘密にしたいというよりも無用な心配をかけたくない、という想いが強くなるのだと思います。

 

伊東 そうですよね。特に美容師は個人に意識が向くのが一般的だと思うのですが、現場の方がM&Aの打ち合わせに同席されて、さらにそれをポジティブにとらえて頂けているというのは、社内に新しいことに前向きに取り組む風土が本当にあったのだなと感じました。髙梨さんには今後の組織の方針、例えば新たな出店地域などの質問にも具体的に回答を頂け、美容師としてだけでなく、経営のこともしっかり考えておられるなという印象を受けました。

澤野 今回、コロナの影響でお店を閉めていることもあり、年間単位で見るとどうしてもへこんで見えてしまったり、下がっていて失速してるように見えたりもあった中で、率直に投資を実行するかどうか、バリュエーションも含めて迷われた部分を教えて頂けますでしょうか。

 

伊東 どんな会社でも差別化され、お客様に必要とされている企業だったら、コロナの影響で一時的にへこんでも乗り越えていけるだろうなと思います。そして、k’sさんも緊急事態宣言の直後は影響が大きかった様子ですが、各店の売上や人員体制を様々な角度から分析した結果、回復傾向やスタッフの成長がみられましたので、不安は少なかったです。

澤野 今後の成長戦略についてどういう部分を検討されているかというところですが、新しい社長も来られてどのようにお考えですか?

 

伊東 美のプロフェッショナルとして高い意識でやってきた文化を大事にしつつ、管理体制の強化と働く人たちの環境の整備。あとは、出店、追加買収による拡大です。まず、管理体制で言うと、労務・経理・法務面で適切な専門家と連携しながら、会社としてあるべき姿にすること。また、会社及び店舗として目標を設定し成長する喜びを感じられる組織にしたいと思います。そして、教育も重要と考えています。現在も一年から一年半程でスタイリストデビューできるマニュアルがありますが、それをきちんと、効率的に運用することで新しく入った若い方でもキャリアをイメージしやすい体制を整えたいです。出店・買収については、美容室も一般の企業と同じように多くは経営者の高齢化や後継者不在に悩んでおられるので、そういったサロンを承継したり、新規の出店にスタッフの活躍の場を提供してゆきたいです。

澤野 ありがとうございます。では、最後に半年間お付き合いいただいて弊社アドバイザーについて、率直なご意見も含めて感想をお聞かせください。

 

伊東 まずは誠実に、スピーディな対応をしてくださるアドバイザーさんだという点です。こちらの考えにも真摯に向き合って下さり、難しい局面も上手に調整して頂き本当に感謝しています。特に初期段階から色々な資料を開示頂いたり、面談の設定をして頂いたり、時には一緒に生産性を分析して頂きました。澤野さんがk’sさんとも強固な信頼関係を築いてこられたおかげだなと思いますし、安心してディールに取り組めました。そして、美容業界の知見も非常にもっておられて、我々も勉強させてもらいました。有難うございました。

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