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ウェルスガーディアン株式会社 芦澤 大地社長インタビュー(後編)

ウェルスガーディアン株式会社 芦澤 大地社長インタビュー(後編)

2022.01.28

当社は事業承継・M&A実行後の経営者やオーナーに対する相続、財産保全、資産管理等の支援強化を目的に富裕層向けの永続的な繁栄を目的とした資産管理サービスを提供しているウェルスガーディアン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:芦澤 大地)と業務提携いたしました。
なぜ今、両社は提携するのか。その背景から日本の金融界の未来まで、芦澤社長と当社取締役土橋、松栄がじっくり話した対談の後編です。

今回もIFAと銀行・証券会社との違い、業者の見極め方、日本と海外の相続対策の違いなどなど、幅広い内容になっています。

インタビュー前編はこちらから

土橋 今回は、IFA (Independence financial adviser)とは何か、というところからお話をしていただければと思います。まずは、IFAと銀行・証券会社との違いを教えていただけますか。

芦澤 近年、銀行と証券というのは垣根がなくなってきています。銀行の人が証券の案内をできるし、証券の人もグループ会社の銀行の案内ができるようになっています。そいった状況の中でIFAといわゆる銀行・証券との大きな違いは、その会社に属しているか、または、中立的な立場でどこにも属さず間に入るかという点ですね。大きな違いに感じないかもしれませんが、お客様本位のご提案ができるという所がかなり変わってくると思います。会社に属している人は自身の会社の商品しか案内できないですが、違う立場になることによって、様々な会社の商品を中立的な立場からご案内できるというのが大きな違い。それがいわゆる『独立/independence』という意味ですね。

土橋 具体的な話になってきてしまうのですが、中立的な立場で提案する際の相談口や手数料には大きな違はあるのでしょうか?

芦澤 2つパターンがありまして、1つは顧問料・相談料・コンサルティングフィーを貰う助言料です。助言料以上はもらわないし、ポートフォリオを作って終わりですね。

土橋 お金を貰った時点でおしまいなのでしょうか?

芦澤 一言で助言料といっても、助言の内容によってどういう貰い方で契約するか、いろんな人がいますね。例えば年間いくら貰うという契約やポートフォリオは6カ月間ぐらいかけて作るので、6カ月間分でこれだけくださいとか。

土橋 ポートフォリオの作成には、それなりの時間が必要という事ですね。

芦澤 はい。マーケットを見ながらいい会社を選ぶので。

土橋 なるほど、時間をかけることで精度が上がるということですね。

芦澤 そういうことです。その時に作ったものに対して預かり残高の何パーセントかを一回だけ貰いますよ、というパターンとか色々ありますね。それが助言料で、いわゆる財務省で免許を取得してやる仕事。様々な証券会社と仲介契約を結んで多様な会社からお客様に合ったものを作っていくというのが、いわゆる仲介業です。

土橋 それがIFAさんでしたっけ?

芦澤 IFAになりますね。独立していればIFAになります。

土橋 金融機関に所属していれば、IFAではなく証券に属するFAさん。ファイナンシャル・アドバイザーということですね。助言料は許認可なのでしょうか?

芦澤 助言料は許認可です。認可をとって、その代わりにどこの会社にも属さないのです。さっき言った仲介契約をどこの会社とも結ばないので、例えばお客さんが今取引している証券会社でポートフォリオを作ったりします。

土橋 助言料の管轄は、どちらになるのでしょうか?

芦澤 東京では関東財務局というところがあって、その中のいろんな課で仲介業とかファンド業とかの認可を受け付けています。

土橋 なるほど、金融ライセンスですね。昨今、仲介業の認可に2年程かかると聞いています。前と比べて長くなっている印象ですが、業界的にはどういう状況なのでしょうか?

芦澤 認可までの期間が伸びている理由は分からないですけど、私たちが立ち上げた6年前くらいと比べると、恐らく申請の件数そのものがものすごく増えていると思います。審査の数が増えて大変だと思います。実際は私たちが独立した時よりも内部体制やコンプライアンス、個人情報の管理の基準が厳しくなっているので、認可まで時間がかかっているのではないかと。今までであれば税理士さんや会計士さんが副業で簡単に取れるというイメージだったものから、財務局の指導のもと、きっちり整備をしなさい、管理をしなさいという内容になっています。その背景としては、ちゃんと管理ができていない、何なら整備すらできてない業者に認可がおりてしまったために、斡旋や訴訟がかなり増えたようです。窓口広げすぎず、きっちりした業者になるまでは認可が通らなくなっているのが実情です。

土橋 なるほど。前回、話題になったと思いますが、日本とアメリカのIFAでは金融商品の取り扱える種類が全然違いますよね。お客様の資産をお預かりしていく中でも、多様な商品へのニーズが高まっているのは感じますか?

芦澤 そこはすごく感じていますね。とくに新規のお客様の相談の件数が増えています。一般的にIFA自体が認知されてきているということと、あとは証券会社や銀行が支店統合とか人数を減らしたりして、営業の質が落ちてきている中で、IFAの質は上がっているので、多分そちらに人が流れてきているというのは肌で感じますね。

土橋 なんとなくIFAというものが分かってきました。IFAにもいくつか系統があって、例えば、芦澤さんのようにPB出身の方がやっているところ、保険をメインにやられているところ、証券リテール、営業をされていた方など色々いると思うんですけど、それぞれ芦澤さんが感じられている差というのはありますか?

芦澤 もし、私がお客様の立場でIFAがどういう人たちなのか調べるなら、まず、ホームページで経歴を見ますね。どういうIFAの方がどういう経験をしているのかと。例えば、証券会社に新卒で入って4年くらいの若い人たちが集まって独立したIFAもあれば、昔から色んな金融機関を歩いてIFAとして独立しましたという人、外資のUBSやクレディスイスなどのプライベートバンクを経験してから独立するIFAの人もいます。お客様は経歴や経験、あとはどういう提案をしてくれるのか、というのを見極めて会社を選んだ方がいいと思います。

土橋 御社の場合は、どのような強みや特徴のあるご提案をされているのでしょうか?

芦澤 強みは外資系の金融機関出身の人がほとんどで、かつ銀行出身の人が多いので、幅広く色んな対応ができます。うちが謳っている『ファミリーオフィス』として、金融商品だけでなく、ローンや節税など、様々なご提案を、経験豊かなスタッフが行っていることが強みだと思います。

松栄 すみません、少し話が戻ってしまうのですが、お客様の立場で色んなIFAさんを見ていくときに、経歴はwebsiteなどで分かると。そこから実際に提案を受けていく中で、業者の質まで見極めるというのは難しい気もするのですが、提案の中身を評価するにはどの部分を見ると良いのでしょうか。

芦澤 投資経験がなくて、一からすべて教えてもらうような立場の方には中々わかりにくいかもしれませんね。そういった方がどこを比べたらいいかというと『ライフプラン』です。商品ありきではなくて、お客様の目的とかライフプランを漠然とこうなりたいよねという話から少しずつ要望に応える形の提案をしている会社は良いと思います。「この商品良いと思います」「上がると思うのでこれ買いましょう」という提案ばかりされる会社は、手数料が目的の営業だと思った方が良いじゃないでしょうか。

松栄 商品を勧めているのか、もしくは人生の目標とかこうなりたいというお客様ライフプランのご提案なのか、ということですね。

芦澤 ライフプランは、漠然と「将来どうしたいですか?」というところから「なぜ今回売ろうと思うのですか?」「誰に引き継ごうと考えたんのですか?」という話に入ると思うんですよ。多分そこが肝で、そういう提案をする会社かどうかというのが見極めの尺度になると思いますね。金額は後からついてくるものだと思います。

松栄 なるほど、すごくわかりやすい。M&Aと同じですね。我々もオーナーや経営者さんに「将来どうしたいですか?」からお話します。

芦澤 先日、松栄さんとうちがご紹介したお客様の打ち合わせに同席させていただいたじゃないですか。実はあの時、話の仕方がすごくいいなと思いながら、お話を聞いていました。我々に対してもそうだったので、お客様に対してもそうなんだろうな、とは思っていたのですが、質問の順番がすごく我々の運用に近いなと。M&Aの場合もこの会社はどうしたいのか、買う側がどう見るのか、お客様とそういったコミュニケーションが取れないとM&Aが成立してもミスマッチになってしまいますよね。

松栄 そうですね。M&Aも成約がゴールではないので、経営者さん自体が将来どうしたいか、会社や従業員にどうなってもらいたいか、という話なしに、条件や時期の設定、譲渡先の選定はできないです。

芦澤 お客様には漠然と将来どうしたいという考えがあると思います。例えば、いっぱいお金が入ってきて、そのお金を減らさずに利息である程度稼ぎたいとか、リタイアするまでにこのくらいの資産が作りたいなとか、そういう漠然としたプランはあって、それをこちらが聞き取った上でどういう提案をしていくか。例えば10年後にこのくらい資産を増やしたい、20年後にこのくらい増やしたい、何なら、10年から20年間の間にこれくらい使っていきたいとかを考えて提案しないとお客様のライフプランにはならないのです。「これから買いましょう」「これ上がると思います」「これ良いと思いますよ」という提案はそこを聞いていないんですよね。

松栄 いわゆる回転売買みたいな。M&Aにおいてもマッチングだけを優先する業者さんていらっしゃいますね。 芦澤 お客様にはそういう風に考えている営業はすぐわかると思いますよ。

土橋 芦澤さんの銀行系ではないもののPBに近いファミリーオフィス発想というのがすごくいいと思っているんですけど、PBとの差がまだはっきり理解できていないかも知れません。

芦澤 それをひとことで説明するのは難しいですけど、私はクレディスイスに入って、商品ありきではなく、お客様の属性、家族構成、なんならお子様、お孫さんまで、皆さんにヒアリングをして、そこからどうしていこうか、どういうニーズがあるのかというのを何回もミーティングしていくという研修を受けてきました。

土橋 お客様はもちろん、お子様やお孫さんにまでヒアリングするのでしょうか?

芦澤 はい。そこからお客様と一緒にゴールを探すという手続きを踏みます。プライベートバンクとファミリーオフィスって、イコールだと思うんですけど、日本の証券会社とプライベートバンクの大きな違いは、何世代にも渡って対応しようというご提案ができるかですね。銀行や証券は3年から5年で転勤ですから。

土橋 あぁ、なるほど。担当者が変わっちゃうってことですね。

芦澤 いいか悪いかは別として、銀行や証券では、営業成績を上げるために3年から5年でいかに手数料を稼ぐかというのが会社の評価になります。逆にPBとかファミリーオフィスはずっと担当者が一緒ですよと。そうすると長い期間のお付き合いがある中で回転売買のような発想は出ないんです。

土橋 なるほど、3年、5年の周期で商品を提案するのではなく、家族承継を見据えて一族に対してご提案するわけですね。

芦澤 そうなんです。10年後、20年後にどういうリスクがあるか、どういうライフイベントがあるかというのも考えた上でご提案していくので、ミスマッチが起きないのです。多分それが決定的な違いの一つだと思います。

土橋  PBにかなり近い感じですね。それを踏まえて、弊社のお客様にはPBよりも御社を選んで欲しい。そこを後押しするためにも、メリットなど特徴を教えて頂けますか?

芦澤 まずは金融機関に勤めている限りは目標、ノルマですね。年間でこれくらい収益稼ぎなさい、これくらいの預かり資産貰いなさいという目標があるんです。やっぱり、営利企業ですし、グローバルで多くの国にPBがある中で、日本でこれくらい稼ぎなさいという目標が営業員に下りてくる。

土橋 そういった意味では銀行や証券とあまり変わらないですね。

芦澤 証券・銀行が毎月数字追うのと違って、PBは良いところで1年。そうはいっても1年である程度は結果を出さなくてはいけないのに対して、うちはまず目標というもの自体がないです。

土橋 目標がないんですか!? ちょっと驚きなんですけど。

芦澤 目標はないですし、これをこれだけやって欲しいとか、一年間でこれだけ上げて欲しいとかいうのもないです。とはいえ、うちも営利企業ですから収益は上げなくちゃいけないので、私がきちんと数字は管理していますが、営業員と今月このくらいでした、年間このくらいでしたというコミュニケーションはほとんどとりません。給料のプラス査定の時にはそれに見合ったパフォーマンスを判断しないといけないので、その時に今年このくらいだったから、会社の利益がこうだったので、このくらいボーナスで払いますよというコミュニケーションは取るんですけど、ボーナスを貰うのに走らないように、なんでこのくらい貰うのかという数字の出し方もいわゆる出来高にはしてないです。

土橋 目標がなくても社員の方が活躍されている理由はどこにあるのでしょうか?

芦澤 お客様と長く付き合えるというモチベーションだと思います。

土橋 やっぱり、そこは面白のでしょうか?

芦澤 そうですね。お客様に喜んでいただけるというのはモチベーションになります。長いお付き合いの中で、お客様から新しいお客様を紹介いただけるケースも多いので、必然的にお客様も増えていきます。それはサービスに満足いただけている証でもあるので、モチベーションになりますね。

土橋 いま在籍されている方々はそういう理念に沿って採用、所属されているのですね。みんなたくさん給料や報酬を貰いたいという気持ちは当然あると思うのですが、どのような仕組みで管理されているのでしょうか?

芦澤 目標がないといっても、うちはこのくらいコストがかかってます、プラスにするにはこのぐらい必要だよというのは大体伝えています。ただそれを1年目からクリアしろとは言わないし、5年、10年かけてそれ以上のものを会社にもたらしてくれればいいよという形でやっています。そういう意味で、目標が本当にないわけではないのですけど、それに縛られないやり方にはしています。それでも報酬は銀行とか証券とかで貰っているよりもずっと高いと思いますよ。

土橋 そういうことですよね。結果的に絶妙なバランスなんでしょうね。ここ数年で立ち上がったIFAさんだと、当然ながら会社を維持する為には利益が必要。よって、採用条件は成果報酬をメインに打ち出してるようなところが大半、かなり厳しいかなって思ってます。

芦澤 そういう会社は、言い方は悪いですが、お金で釣るというか「出来高でやったらやった分だけお金貰えるよ」っていうような採用をしていて、ちょっと危険かなと思います。

土橋  そういう会社はIFAではありますが、株屋さんに近いような感じですね。手数料は大手の証券会社に比べたら安価、確かに経済合理性があるのでお客さんは移ってきてしまう。でも、IFAの本業はそこじゃないですよね。金融知識が足りない状態なので、一般のお客さんはまだそこに気付けていない。

芦澤 まだわからないと思いますね。当社のお客様は私たちが思っている以上に経験があってそこで成功してきてる方々なので、感じとっておられますけど。

土橋 なるほど。経営者の方ですからね。お客様の大半が私よりも年上の方、経験も実績も桁違いにある方々ですよね。

松栄 そこに関連するんですけど、多分この記事みられるのも経営者の方が大半だと思うんですね。その経営者の方にとって、芦澤さんに相談しようと思うタイミング、このぐらいには考え始めたほうがいいですよ、というのはありますか。

芦澤 タイミングは人によって違うと思います。私も経営者なので分かるんですけど、会社経営するのは会社の利益を追いかけるので、自分の資産は二の次になるケースが多いですよね。自分の給料云々よりもどちらかと言えば会社の給料、会社を大きくしたいっていう方が大きい。わかりやすいのが、スポーツ選手で、とにかく今の成績が大事。そういう方に「今、本業を疎かにしちゃいけない」というのは正解だと思うんですけど、そうは言っても何もやらず、引退してセカンドキャリアへ進む時に考えるのと、空いてる時間に少しずつ考えていくのはスタートの位置がかなり違ってくると思います。なので、合間でいいので将来を考える時間、家族を考ええる時間、会社を考える時間をとることが大切だと思います。時間をかけてお金がお金を生む仕組みをすこしずつ作っていくお手伝いは、お客様のタイミングというより、必要なタイミングでこちらからご提案させてくださいといってますね。

土橋 確かにタイミングによって環境も状況も違いますし、経験を積めば考え方も変わりますからね。

芦澤 そうですね。あとは家族構成によっても違ってきますね。小さいお子様がいるのか、奥様と二人でこの後どうやっていくのかとか。場合によっては結婚したばかりで会社も持っている。将来こうしていきたいという資産形成の手前でもいいんですよ。

土橋 まさにファミリーオフィスですね。最初、ライフプランの作り方が保険屋さんのイメージに近いと思いました。だけど保険会社は自社商品のみの販売なのでお客様本位ではないです。50年、100年を見据えたら、IFAのような会社にしかお願いできないですよね。その中で、お話しできるような失敗談などがあれば教えていただけますか?

芦澤 私が立ち上げてこの6年間、事故とかトラブルが本当に一個もないんですよ。それは、先ほどの理念とか、最初の入り方とかで多分トラブルが起きない進め方をさせていただいているからだと思います。私がすごく意識しているのは、お客様の金融リテラシーというか理解度、知識ですね。そこはこちらが教えているといったら変ですけど年々すごく上がっているので当社の提案に対する理解も高いのかなと。トラブルが起きるのは、営業はお客様が理解していないのを分かっていながら、お客様本人が理解してるといってるからと進めてしまうケースだと思います。

松栄 分かりやすいですね。

芦澤 このマーケットは日本も海外もここ3、4年ですごく上がってるので、トラブルはなかったと思うんですけど、それでも斡旋事例はすごく増えてるんですね。勧める側が悪いとよくいわれて、そういう結果にもなってますけど、実際は勧め方が悪いんですよ。ただ、お客様もそれなりに丸投げせずにちゃんと自己責任で。自己責任は分かってるってよく聞くんですけど、それ以上に学ぶ意欲というか理解を深める努力は必要だと思います。だから、そこは専門家が辛抱強く側について、常にしっかり教えてあげて、これとこれのリスクはこうですよ。リターンはこうですよ、なんでこれをやるかっていう説明をきっちりする必要があります。保険は書類書いたら忘れちゃうじゃないですか。5年前とか10年前とかに書いたけどなんて書いたんだっけなとか。

土橋 毎年年末書類が届くみたいな。

芦澤 そこで学ぼうと思ってその場では学ぶんですよ。だけど、保険屋さんとは定期的に会わないので、時間が経つとどういう内容だったか忘れちゃう。でも、我々の仕事は結構定期的なんですよね。二か月に一回は最低でも会いますので、回数を重ねるうちに自然とお客様の金融知識もあがってくるんです。

土橋 保険屋さんの大半はメンテナンスしてくれないですよね。携帯電話も同じで、機種変更の時ぐらいしかプランの見直し機会がなく、このプランはもうないのでそれに代わるプランだと少し安くなったりします。それ以降、定期的に自ら見直すようにしています。

芦澤 私はマーケットにクラッシュに近いものが起こったとしてもほとんどトラブらないっていう自信があるんですね。理由はお客様に毎月「こうなる可能性がありますよ」というのをきっちり言ってるんですよ。逆にいうと、そうなった時にみんながビビって大変だってなった時にキャッシュがあるので、そこでこうなったら買いましょうって提案をしているのです。

土橋 なるほど。キャッシュポジションは大事ですね。

芦澤 すごく大事です。

土橋 今の発言は、マーケットがそろそろ落ちるよってサインですか。

芦澤 あり得ると思いますね。2,3年ではどこが発信でどのぐらいの規模で起きるかわからないですけど、今は完全に金余りでリーマンショックの時と似てるんです。金余りでビットコインが上がるとか美術品が上がるとか、現代アートが上がるとか。ものが異常な値段を付け始めている時期はもう必ずどっかで無理しているんです。なので、今は金余りだと思います。

土橋 お金余りも影響して物価が上がってるってことですね。

芦澤 そこはインフレ。デフレが20年くらい続く日本にいると、物価が上がるのは想像できないんですけど、今、物価は上がってるんです。給料は上がってないんですが、少しずつインフレに向かってます。これが全世界で結構起こっていて、だからアジアの不動産は上がってますし、アメリカも中国もという状況になっている中、これがいつクラッシュというか調整が入るか分からない状況です。それを踏まえて運用サービスするのも大事なんですよね。もうアメリカのダウ買っとけば年率7%ぐらいで上がっていきますよっていう。

土橋 それなら誰でもできますよね。

芦澤 それが最初のコミュニケーションでできているのかどうかっていうのが違いかなと思いますね。

松栄 なるほど。だから、商品の設計の仕方でも差が出てくるってことですよね。

芦澤 でてきますね。

土橋 クラッシュも10年ぐらいで定期的に起きますよね。今は思いのほか伸びちゃって13,14年、いつ起きてもおかしくない状態。織り込み済みってところで提案受けたほうが、現預金も多めにこの数年はいきましょうとか。価値が落ちたら拾いに行けばいいのでっていうところですよね。価値が下がらない商品は資産を守るために置いといてっていうようなポートフォリオですね。

芦澤 そうですね。実際にはうちのお客様は外貨の比率がすごく大きいです。8割5分くらいがアメリカドル。国民が生まれた瞬間に一千万の赤字を背負うという、この国の赤字はやっぱり世界から見たら異常な状態なんですよね。だから今の若い人、私も子供いますけど、この子たちが成人して日本がまともになってるのが想像つかないですね。だから逃げるしかないです、海外に。

土橋 私の長男は海外行くって言ってます。

芦澤 本当にそうだと思います。賢い子は絶対逃げると思います。そうなったときに円の価値が暴落するんです。日本に居ざるを得ない人も、赤字で本当に価値が無くなっちゃうような通貨で持たずにリスクヘッジでアメリカドルを持っておくのが保険になると思いますね。

土橋 流石にドルがっていうのはなさそうですよね。

芦澤 今のところはそうですね。まぁそれが何年か後にアメリカの国債の今の水準もここから毎回増やしていって、量的緩和やり続けないですよ。やっぱりアメリカは分かって動いてくる。日本だけですね。だから私がすごく危機的だと思うのは、若い人は自分の給料の10何倍のお金でローンを借りて変動金利で不動産を買ってます。これ、金利が1%、2%って上昇していった場合に払えなくなっちゃうんです。

土橋 金利4%とかいっちゃう場合ありますもんね。

芦澤 可能性あります。4%は過去にありましたしね。

土橋 だからそれをみんな分かってないですよね。経験してないですもんね。だから4%5%の自己負担となると払えなくなって、売らなきゃいけなくなるじゃないですか。となると借金だけ残ってしまう。

芦澤 そうですね。今、銀行も個人のサラリーマンとかにめちゃくちゃお金貸してますけど、私はこれかなり危険だと思いますね。

土橋 そうなんですよ。僕が家を買わない理由もそこにあります。そういう感度は若い人にはなかなか分からないかもしれません。そういったところでいうと、イグジットを目指す若い方に対して何かアドバイスというか、芦澤さんのお考えがあったら教えてもらえますか。

芦澤 そうですね。イグジット後に新たにビジネスを始める人とか、一旦休んで手元のお金を運用してそのお金で暮らしていけるようにしようとか色んなケースがあると思うので、まずはどう考えてどうやっていきたいのか整理してみると良いと思います。そうすると恐らくなんかあると思うんです。売った理由に続く、その後のプランとか。で、そこにあまり何も無いようだったらそこからまた相談をしてもいいと思います。中には忙しくて時間がなかったという方もいらっしゃいます。ということは、今ようやくしっかり時間ができているので、将来のことをゆっくり一緒に考えましょうと。私がどういう風にその人たちに話しかけるかというと、そこから入ると思います。

土橋 この商品が良いってことではなくて、どれがいいかっていうのを一緒に見つけていくという感じですね。

芦澤 そうですね。だって、趣味も違えば、お金の使い方も違うじゃないですか。子供にすごいお金をかける人もいれば、自分のご褒美に使う人、そこから事業を始める人もいます。

松栄 IFAとかプライベートバンクとを聞くと、言葉だけで結構ハードルが高いなって感じる人もいると思うんです。ハードルが本当に高ければ高いでそこを目指すという考え方もあると思いますが、腰がひけてしまう人に、ハードルは高くないよ、気軽に相談してもいいんだよといったご案内をされることもあるんですか?

芦澤 私なんかからするとハードルが高いと思っている人たちは、きっと、分からない世界に入るのが怖いのだと思います。格式が高いから跨げないとか、私みたいな庶民がこういうのに手をだしたらダメとかいろんなハードルがあると思うんですけど、思ってるほど、そのハードルは高くないです。事業を始めるときと同じで、一歩踏み出す人が成功していると思うので、やっぱり、わからないことは聞いてみる、トライしてみるべきです。

土橋 なるほど。そこでいうと色々なIFAの方のお話聞くのが一番いいですね。

芦澤 本当にそれは良いと思います。出会いは大事だと思いますし、気が済むまでいろんな方に合うっていうのはすごく大事だと思います。今こういうご時世ですし、ホームページから問い合わせするとすぐ返事が返ってきますから。そこでオンラインでもいいし、直接話すでもいいですけど、色んな人に会って話を聞くことでハードルは下がってくると思います。

松栄 そこで、対応での差も感じることもできますもんね。

芦澤 話が面白いなとか。本当にマーケットがいった通りになってきたなとか。

土橋 いきなりいい商品ありますよとかは、怪しいなこいつみたいな(笑)。将来IFAで活躍したい人にとってもたくさんの会社を見るというのは大事ですね。

芦澤 今の若い人は学ぶチャンスがすごく多いと思います。経験がものをいうといいますけど、この業界は変な色に染まっていないというのがすごく大事。証券会社の回転売買は当たり前という発想を失くすのは結構大変なので、それがないだけですごくいいと思います。若い人が最初から独立してコンサルティングに近いことをやりたいという場合、今のマーケットというかこのご時世はやりやすくなってると思います。

松栄 地方では事業承継でM&Aされる方も多くて、今後もっと増えてくると思うんですけど、待ち受けるのは相続ってところを考えると、事業承継×相続に対して芦澤さんからこういう風に考えたらいいんじゃないか、というアドバイスはありますか。

芦澤 さっきの話に戻りますが、UBSやクレディスイスはやっぱり首都にしかないので、地方の方は情報にアクセスできてない場合が多い。それがIFAや知識を持った人たちが地方にも増えていくことで、そこから今までと違う提案が受けられると思います。相続に関しては私もよく相談を受けるんですけど、日本と海外は考え方が違うんです。日本では資産の半分を持っていかれるとか税制の違いはあるんですけど、海外では相続対策に運用を始めないんです。相続を前提に対策をすると、そこでキャップが決まっちゃうじゃないですか。相続が発生する前にやる必要がないという発想なんです。もちろん、最悪は考えてるんです。急に亡くなった場合にはこういう手続きをしましょうっていうのはやるんですけど、蓋を閉めないんです絶対。ここが根本的に違って、日本で保険や相続対策をする人は税理士さんを含めていかに減らさないように引き継ごうかとするので、税金をしっかり払ってこうしようという人はすごく少ないんです。

土橋 日本は1998年以降、ずっとデフレが続いてきたから、引き継ごうとする発想になるじゃないでしょうか。

芦澤 相続対策を勧める人はインフレという感覚がないんです。海外の人は、インフレで物価が上がってくるから、資産が増えていないなら、減っている状態と考えるんです。インフレで物価上がっていくならインフレ率ぐらいは資産を増やさないといけないよ、というのが普通の発想なのです。このデフレの状況で一番やっちゃいけないのは蓋を閉めることですよ。

土橋 最低でも、GDPの成長率は超えてないといけないってことですね。

芦澤 それが普通なんですけど、その発想は多くの日本人には無い。だから、私が今すごく不思議なのは、なんでこんな年齢で相続対策するの? この後インフレになったらどうするの? ということ。

土橋 確かに。それは節税の発想ですよと。

芦澤 国もおかしくて、運用を増やしていけば、相続税より多く税収取れるんです。今ないものが、運用が増えた状態だとこれだけ取れるということがわかっているなら、後回しすればいいんですよ。全体的に運用側に資産が移りながら相続税もとれるみたいな発想がないのでこんなことやっているんじゃないですかね。私なら地方にいる方にちゃんと経済っていうのはこういうもので、インフレ/デフレから円の価値外貨を持つ必要性というのをイチから説明すると思います。

土橋 とてもいい話ですね。我々でいうと製造業の事業承継という高度経済成長期を支えてきた日本の屋台骨をしっかり引き継ぐというのと、成長産業の両方の軸でお客様のお手伝いが出来たらと思っています。また、イグジットのお手伝をする中で、経営者さんの金融知識が高まってそこでまた経済が回るという循環を生みたいと思っています。今後ともよろしくお願いします!

芦澤 よろしくお願いいたします。

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