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「人材のプロ」が語る、円滑な事業承継のために必要な準備とは

「人材のプロ」が語る、円滑な事業承継のために必要な準備とは

2022.09.02

現在、日本国内において「中小企業経営者の事業承継」は喫緊の課題とされています。後継者未定とされる企業は127万社あり、事業承継できず廃業が急増すると、2025年までの累計で約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われる可能性があると言われています。(中小企業庁より)

事業承継のプロセスにはさまざまな課題がありますが、「後継人材」という観点にフォーカスすると、どのような意識や準備が必要となるのでしょうか。「人材」に関するプロであり、このたび当社顧問に就任いただいた森本千賀子さんに、代表の松栄遥がインタビューを行いました。

 


<森本千賀子氏プロフィール>
1993年、現リクルートに入社。転職エージェントとしてCxOクラスの採用支援を中心に、3万名超の求職者と接点を持ち、2,000名超の転職に携わる。リクルートキャリアでは累計売上実績は歴代トップで全社MVPなど受賞歴は30回超。 2012年には、カリスマ転職エージェントとしてNHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。 2017年3月株式会社morich設立。現在、NPO理事や社外取締役・顧問など「複業=パラレルキャリア」を意識した多様な働き方を自ら体現。日経オンライン・プレジデントオンラインなどの連載のほか、『1000人の経営者に信頼される人の仕事の習慣』『本気の転職』など著書も多数。2022年2月には日経新聞夕刊「人間発見」の連載にも取り上げられる。2男の母の顔ももち希望と期待あふれる未来を背中を通じて子供たちに伝えている。

 

 

3~5年後の承継を目指し、次期社長候補を採用するケースが多数

 

松栄 森本さんは経営幹部層を中心とした採用支援・転職支援を手がけていらっしゃいますが、「事業承継」の関連ではどのようなケースがありますか?

 

森本 まず、高齢で引退間近の経営者がご子息に経営を引き継ぐにあたり、次期社長を支える経営幹部の採用のお手伝いをするケースがあります。ご子息がまだ30代などで経営経験が浅いと、「指南役」「番頭」のような立場でサポートする50代~60代の方を迎えるんです。
このパターンでは、地方企業に首都圏で経験を積んだベテラン人材をご紹介した事例も複数あります。
ただ最近は、親族への承継は少なくなっていますね。

 

松栄 世の中の事業承継のうち、親族外承継が3分の2を占めるようです。

 

森本 ご子息はすでに別の職業を選択していて継ぐ気がない。そもそも、一昔前のように両親や祖父母が子どもに跡を継ぐことを求めず、帝王学を施すこともなく、自分の道を自由に選択させていますから。
かといって既存社員に引き継ぐにも、中小企業では経営を任せられるほどの人材が育っていないことも多く、外部から経営能力を持つ人材を迎えよう、という選択になるわけです。

金融機関から融資を受ける、IPOを目指すにあたり監査法人の支援を受ける、あるいは大手企業の資本が入っている……といった場合も、「後継者」の確保を求められることがあります。
ですから、企業が次の成長ステージへ進むためにも、弊社に後継者候補人材の紹介の依頼が寄せられます。

経営者の急病や急逝などでないかぎり、「今すぐ事業承継を」というケースは少ないです。
例えば、オーナー社長が「60歳での引退」を計画し、3年~5年後の承継を目指して、次期社長候補を「経営企画」「営業部長」といったポジションで採用。社長と一緒に働いて事業や経営のイロハを学んでもらった上で引き継ぐ、といったステップを踏むケースがよく見られます。

 

松栄 事業承継を分解すると、「資本の承継」と「経営の承継」がありますよね。外部から採用した人に承継する段階にさしかかったとき、「資本の承継」はどのようにしているのでしょう。

 

森本 オーナー社長が経営の第一線から退いても、健康上の問題がない場合などは、「オーナーは自分であり続けたい」と考える方が多いです。そのため、経営者が交代しても株主はそのまま。ただ、そうするとオーナーは後継社長の経営につい口を出してしまうことが多く、そうなるとうまくいきません。社員はやはり「オーナー」に目が向いてしまうし、後継社長がリスクテイクできず十分に手腕を発揮できなくなります。
オーナーであり続けるにしても、口を出さずに見守る。「物言わぬ株主」のスタンスでいたほうが円滑に事業を継続できます。そして、先々には必ず資本の承継問題も出てくるので、後継社長にも貢献に応じたリターンの仕組みを用意しておくことが大切です。企業価値が上がったなら、何%かのインセンティブを支給するなど。
先々、株主が変わるとなれば、後継者にはリスクとなるわけです。相応のメリットを用意しなければ、優秀な人材の獲得は難しいでしょう。いずれM&Aで会社を売却するにしても同様です。

 

松栄 M&Aに関連した人材採用の支援をされるケースもありますか?

 

森本 リクルート在籍時代には、事業再生・事業承継に関わるファンドと提携して、M&A後の経営幹部人材をご紹介するプロジェクトに関わっていました。今もファンドからそうしたご相談をいただくこともあります。
あるいは、長くお付き合いしている企業から「売却を検討している」というご相談を受けて投資ファンドやM&A仲介会社を紹介することもあり、その際に後継人材の課題を一緒に考えることもあります。

M&Aによる承継のパターンはいくつかあります。一つは、すでにオーナー経営者やその一族などが不在で、ファンドが株式を100%保有するパターン。この場合、最初から「社長」に就任する人材を探します。
もう一つが、株式の一部をオーナーが保有し、数年かけてファンド100%へ移行していくパターン。オーナー自身がその企業のブランド力であるなど、オーナーの影響力が強い場合はこの形式をとることが多いですね。この場合、次期社長を「COO(最高執行責任者)」などのポジションで採用し、一定期間かけて引き継いでいきます。

 

松栄 実際に成功した事例にはどのようなものがありますか。

 

森本 例えば、ある地方のアウトドア用品メーカーがM&Aで事業売却したケースでは、Aさんという方が、「次期社長候補のCOO」として採用されました。これから海外展開による事業拡大を目指すにあたり、Aさんの海外ビジネスの経験が買われたのです。
Aさんは入社にあたってその地域に転居。社長から段階を踏んで経営を引き継ぐ一方、社員の皆さんと一緒にキャンプや登山などに行って人間関係を築きました。そして2年ほどを経て、承継を完了しました。

 

松栄 ある程度の期間をかけることでスムーズな承継が可能になったのですね。

 

森本 準備から完了まで、5年くらいのスパンで考えるのが理想だと思います。
先ほどお話ししたのは「M&A後」の事例ですが、何年後かに事業売却を考えるにしても、後継の経営者もセットで譲渡できるようにしておくといいと思います。その経営者がいることで「買いたい」と言われる、企業価値が高まるようにしておくといいでしょうね。

 

事業承継を検討し始めたときにやっておくべきこと

 

松栄 企業オーナーが事業承継の検討を始めるなら、どんなことから着手するとよいと思いますか。

 

森本 まずは、「自身の身の振り方をどうするか」について、自分自身に問いかけて方向性やタイミングを決める。次に、「どんな人に後を任せるか」を考える。

これは、後継者だけでなく経営参謀を採用する際にもいえることなのですが、「優秀だから」「経験豊富だから」というだけで採用して、入社後にギャップが生じることはよくあります。

大切なのは、現状の組織を見渡し、今いる社員の能力や人物タイプを整理し、「何が足りないか」を見極めることです。風土やカルチャーも踏まえ、どんなタイプの経営者ならうまくはまるのか、ペルソナイメージを明確にする必要があります。

この作業は1人で行うより第三者のサポートを受けたほうがいいと思います。対外的なビジネス力に長けた経営者であっても、いざ自分自身のこと、自分の会社組織のこととなると意外と客観視しづらいものですから。

実際、私も経営者の皆さんからよくご相談を受けますが、私の観点から意見を述べると「その視点には気付かなかった」という反応が返ってくることがよくあります。

これらを整理した上で、「M&A」を検討する段階に入ったら……次のステップは松栄さんの専門分野ですね。

 

松栄 はい。「事業」「財務」「組織」「法律」という側面から現状を可視化します。例えば、「事業」面であれば、取引先ごとに売上・粗利を出したり、会社の強みや成長余地を把握します。

 

森本 そこでもやはり第三者のサポートは必要ですよね。現状把握するにしても、経営トップまで上がってきているものが全てではないこと、結構ありますよね。経営者自身が社員の立場まで下りていったとしても、なかなか見えないものもある。その点、社内の利害関係に関わりがない外部のパートナーが現状把握のプロセスをサポートしてくれるのは心強いと思います。

M&Aというと、「仲介」を手がける企業は多数ありますが、M&Aコンサルティングさんのように中長期で「伴走」する企業はあまり見かけませんね。

 

松栄 私が起業した理由がそこにあります。本来、円滑な事業承継・M&Aを実現させるには“準備期間”が最も重要になります。ただ、私が以前所属していたM&A仲介会社でも、「今すぐ売りたい」といったような売主の要望が多く、「もっと早く相談頂ければ、より買い手企業から高評価を得ることができたのに」と思うことが多々ありました。

そして、マッチングに重きを置く会社の方針に対し、「事業承継の準備期間から“企業価値を高めるコンサルティング”ができる機能があればいいのに」とも考えていました。

ですから、自分がM&Aアドバイザーとしてより介在価値を提供できるように、M&Aの前段階――売却に向けての準備から支援するこの会社を立ち上げたんです。

 

森本 「売って終わり、買って終わり」ではないですものね。松栄さんのように、「売った後にどうなるか」というさまざまなケースを知っている方から、前段階から「もっとこうしておいたほうがいい」というアドバイスを得られると非常にメリットが大きいですね。

IPOを目指す企業では、IPOコンサルタントが数年かけて実現までのプロセスに伴走しますが、M&Aでもそのような支援の専門家がいればいいのに……と、私も思っていました。だからこそ今回、顧問をお引き受けしたんです。

私の知り合いの高齢の経営者も、売却を検討して動いているそうですが、「表面的なデータだけで判断されてしまう」と嘆いていらっしゃいました。

私としても、支援するコンサルタントさんには、本当にその企業に興味関心を持って、長い時間をかけて信頼関係を築いていただきたいです。数値では表せない企業価値、その会社が大切にしているものを理解しようとするスタンスで向き合うことを、M&Aコンサルティングさんには期待しています。

単に「高く売れればいい」ということではなく、「売却後も社員に幸せでいてほしい」と願うオーナーさんはすごく多いですから。

 

松栄 短期目線で表面的なマッチングで終わらず、社長の想いや本質的な事業価値をしっかりと見つめていきたいと思います。

 

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